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勝手に小説化:アマガミAS 絢辻詞編 第八章「Afterglow」

今回もかなり時間がかかりましたが第八章です。
何気ない日常の中にある二人の出来事を描いてみました。
現在、アマガミとは全く関係のない完全オリジナル作品の完成を目指して頑張っていますので、今後も時間がかかると思いますがアマガミASも頑張って書いてきたいと思っています。


 放課後の生徒会室――。
「あれ?誰もいない」
 今日は梅原に捕まることなく早く教室を出た為か僕が一番乗りだ。
 部屋に入ると夏特有の蒸した空気が充満していて慌てて空気の入れ替えを行う。
「ふぅ。涼しいな」
 窓を開けた途端に新鮮で涼しい風が部屋に流れてくる。
 この夕方の涼しい風に当たりながら、何気なくグランドを眺める。
「あれ?」
 いつもと違う雰囲気のグランドに少し違和感を覚える。
「放課後なのに誰もいないなぁ」
 いつもこの時間帯は運動部の声で賑わっているはずなのに今日はとても静かだ。
 このまま窓際でぼーとしていても仕方ないのでとりあえず、絢辻さんから借りている参考書を開き勉強を始めた。
   ・
   ・
   ・
 勉強を始めてから数十分が経過――誰も生徒会室にやって来る気配がない。
「おかしいな?」
 いつもならそろそろ誰か来てもいいはずだ。
 そんなことを考えながら、参考書に目を通しているとドアが開く音が聞こえる。
「あら、やっぱりここにいたのね」
 ドアの方に視線を向けるとそこには、絢辻さんが立っていた。
「うん、今日は僕が一番乗りだね。誰も来ないから暇つぶしに勉強してたよ」
「それはいい心掛けね。感心感心」
「いつもなら梅原に捕まったりするんだけど、最近は梅原も忙しいみたいだからね」
「あぁ、梅原君ね。それはそれはご馳走様。さて、私達もそろそろ行きましょ」
 そう言って絢辻さんが生徒会室から出ようとする。
「え、どこに行くの?」
「決まってるでしょ!橘君の家よ」
「僕の家?生徒会は??」
「やぱり思った通りだわ……」
 溜息混じりに絢辻さんが呟く。
「橘君。期末試験はいつからかしから?」
「来週からだと思うけど」
「はい、正解。以上――じゃ、行くわよ」
「え?それじゃー意味がわからないよ」
「……。それでは不本意ですが橘君に分かるように詳しく説明します」
 絢辻さんが腕を組んで話しだしたので、機嫌が悪くなったようだ。
「輝日東高校の校則では、期末試験の一週間前は原則として部活動等の活動が禁止となります。はい、これで理解できた?」
「あーなるほど。それで今日は放課後なのにグランドが静かだったのか!」
「今気づいたの?まったく――」
「はははは」
「だから生徒会もお休みなのよ。確か先週の会議で私が言ったと思うけど聞いてなかったの?橘君は書記でしょ……」
「そうだったのか。多分、絢辻さんに見とれてて……はははは」
「ま、まいいわ」
 絢辻さんは顔を少し赤らめながら生徒会室の戸締りを始めた。
「それにしても僕が生徒会室にいるってよくわかったね」
「今日は橘君の家で勉強しようと思って声を掛けようとしたら既に教室から居なくなってるし――。でも、靴箱みたら靴はあるから後はここしかないじゃない」
「さすが絢辻さんだね。名探偵になれるよ」
「もぉ、冗談はいいからさっさと行くわよ。時間がもったいないし」
「そうだね」
 僕は、絢辻さんに促されて生徒会室を後にした。
 校舎から出て校門に向かう途中に他の生徒と擦れ違ったりしないので、校内に残っているのはどうやら僕達だけのようだ。
 七月にもなると日は長くなり、放課後でもまだまだ明るくグランドの隅々を見渡すことが出来る。
 期末試験前とはいえこうやって早く帰ることが何だか勿体ないように思えてきた。
「勉強の方はどう?」
「絢辻さんに毎日特訓してもらっているおかげで思った以上に順調かな」
「それはいい傾向だわ。でもね、私達が目指している大学は推薦で受験しても厳しいことには変わりないのだから頑張ってね。そうね……この私に勝つつもりで」
「え!?絢辻さんに勝つなんて。ご冗談を――」
「それ位の気持ちが必要ってことよ。それに数学に関しては、私も本気で頑張らないといけない位、上達してるわよ」
「そ、そうかなぁ?」
「あら、私はお世辞なんか言わないわよ」
「はははは。そうだね」
「そう言えば……こうして一緒に帰るの久し振りね」
「僕もそう思ってたんだよ。バイトや生徒会でなかなか二人っきりの時間が取れないしね」
「ねぇ」
「何?絢辻さん」
「ちょっと寄り道して行かない?」
「絢辻さんが寄り道の提案をするなんて珍しいね」
「まぁー橘君も毎日頑張っているし、たまには息抜きも必要よ」
「絢辻さんがそう言うのなら僕は、喜んで――」
 絢辻さんの提案には少し驚いたものの確かに学校以外で一緒に過ごす時間が減っているのも事実なので僕は喜んでその提案に応じた。
「じゃーどこに行こうか?」
「そうね……。この時間からだとそう遠くには行けないから丘の上公園でお散歩なんてどう?」
「了解。じゃー早速行こうか」
 丘の上公園は、ここからだと今来た道を戻ることになる。
 二度手間を嫌う絢辻さんが今来た道を引き返す選択をするなんて珍しいなと思った。
「何からしくないね」
「何よ?」
「だって、絢辻さんが今まで歩いて来た道を引き返してまで寄り道するなんて」
「ふふふふ。そうかもしれないわね。誰のせいかしらね。でも、回り道もたまには良いものね」
 そう言って歩いている絢辻さんは、何だかとても楽しげな様子だった。
   ・
   ・
   ・
 公園に着いた頃には、学校を出た時よりも日は傾いているもののまだまだ明るい。
 入り口に目を向けると駅前によく止まっている焼きたてメロンパンの移動販売車が止まっていた。
「あら、こんなところにも販売に来るのね」
「そうだ絢辻さん、久し振りに食べない?僕買って来るよ」
「ううん。私が買ってくるわよ。いつも頑張っている橘君にご褒美よ。ご・ほ・う・び――」
 そう言って絢辻さんは、移動販売車に向かって駆け出して行った。
 その瞬間、前に絢辻さんが販売のおじさんから大量のおまけを貰いたいへんな目にあった記憶が蘇る。
「橘君。おまたせ」
 恐る恐る絢辻さんの方を見ると、焼きたてメロンパンが二つ――。
 どうやら助かったみたいだ。
「どうしたの?さては……安心しなさい今日は一人一個よ」
「はははは。安心したよ」
「あんまりたくさん食べるとお夕食が食べれなくなるでしょ」
「そうだね」
「さて、ここで食べるのも味気ないから展望台に行きましょうか」
 絢辻さんを先頭に僕達は丘の上公園の奥にある展望台に向かった。
 展望台に着いた僕達は一番見晴らしの良いベンチに座った。
 とても美しい夕焼けと共に昼間の暑さが嘘のような涼しい風が吹いている。
「いただきましょ」
 絢辻さんから渡されたメロンパンは、まだ焼きたての暖かさがあり何とも言えない甘い香りと共に一口囓るとカリカリとした心地よい食感が口に伝わって来た。
「綺麗な夕焼けね」
「そうだね」
「昼間の暑さが嘘のようね」
 久し振りの二人っきり――とは言っても特別な会話をする訳でもなく、いつも学校で話す内容と変わらない何気ない会話だ。
 でも、その何気ない時間が僕に取ってはこの上ない至福の時間となる。
 ふと公園の中央に目を向ける……あの日、一人寂しく立ち尽くしていた場所に目が行く――三年前のあの日の夕焼けはどうだっただろうか――。
 焦りと不安と絶望――僕一人だけが世界に取り残されたような思いを抱きながら夕焼けを見ていたに違いない。
 でも、今は違う――この美しい夕焼けをじっくりと楽しむ余裕と時間がある。
「どうしたの?ぼーっとしちゃて」
「何か良いねこういうゆっくりとした時間を二人で過ごすのも」
「そうね」
「有り難う絢辻さん。僕、頑張るよ!」
「な、何よいきなり。有り難うって?」
「急に有り難うと言いたくなってさ――」
「変なの」
 絢辻さんが僕の顔を不思議そうに眺めている。
 僕もそんな絢辻さんの顔をじっと見る。
「はははは」
「ふふふふ」
 お互いが見つめ合う様な形になり、思わず二人して笑い出す。
 何気ない放課後の寄り道――何気ない会話――何気ない夕焼け――何もかも普段と同じで特別ではないけれど――僕は、この日見た夕焼けを忘れはしないだろう。

アマガミAS 絢辻詞編 第八章「Afterglow」END
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